買っちゃった・・・
オレ、買っちゃった・・・。
A3がさ
スキャン出来たり
コピーできたり
FAX出来たりするやつ
いやー、悩んだ悩んだ。
こんなに悩んだの、今年に入って初めてですよ。
いやー。悩んだ。
「ヤマダ電機は●●円でした…」
なんて、そ、そんなこと言ってないよ!
ホントだよ!
だって僕、ビックカメラ大好きだもん!
ビックカメラ以外で買い物しないって決めてるもん!
す、好きでいたかったんだよ!
いつもどこよりも安いビックカメラをずっと好きでいたかったんだよ!!
だからビックカメラの素晴らしさを再確認するために、一応ちょっとヤマダ電機も覗いただけで…。
た、たまたまビックカメラよりヤマダ電機の方がちょこっと安かっただけじゃないか!
だから僕、素直にそう伝えただけじゃないか!
それぐらいのことで何だよ、目くじら立てやがって!
俺のこと信用できないってのかよ!?
あ…ご、ごめん。そんなつもりじゃ…。
いや、いや、違うよ…。俺がちょっと言い過ぎたんだよ。ごめんね。
え? ポイント!?
なんだよやぶからぼうに…。
ポ、ポイントって何のことだよ?
あ、あー、あれか、その、買い物するとその10%がナントカってやつか。
はいはいはいはい…。
えっとねー、あ、ポイントねー。
あれ、なんだろ、この金色のカード…。初めて見るよ?
え? これがポイントカードって言うの?
へー、初めて知ったよ。
なに?
ビックカメラでお金がわりに使えるポイントが? この中に?
ほぇー。それはすごいねぇ…。
え? どうせ経費で落とすから? ポイントを自分のものにするためにビックカメラで買ったんだろうって?
ちげーよ。何言ってんだよお前。考えすぎ考えすぎ。
だってどうせウチみたいな零細企業はさ、自分で働いた分がイコール自分の給料に反映されるわけなんだからさ、そんな無駄遣いするわけ…
え? あんたは役員報酬なんだから働こうが働くまいが給料同じだろう?
いや、そうだよ。確かにそうかもしれないけどさ。
会社やるってのは意外と大変なんだよ。
いや、違うよ。大変だから無駄遣いしていいってわけじゃないよ。
もちろんだよ、そんなの。
え? なに? 価格.com?
ネットで通販すれば? ビックカメラよりはるかに安い?
な、なんのことだよ?
そんなの知らないよ!!
お、俺はビックカメラが好きなの!
だってお前、ビックカメラなら3年保障とか付くんだぜ?
通販の奴はそーゆーとこがちゃんとしてな・・・あ、いや、なんでもない、なんでもないよ。
え?
3年補償は購入した時のポイントの3%が利用されるから?
ポイントカード持ってない人は利用できない?
あ、あー、そうなんだ。
じゃあなんでだろうね…。
…たまたまかな?
ほら、ビックの店員って親切じゃん。
「お客さん、財布から見え隠れしてるやつ、うちのポイントカードですよーっ」
ってさ、教えてくれたんじゃないかな、きっと。
え? 使い道? ポイントの?
そりゃもちろん太鼓の達…じゃなくて、いや、だってほら、知らなかったわけだから。ポイントが付くなんて。
でもさ、やっぱり会社のお金で買ったわけだから?
やっぱり会社に還元したいよね。
うん。やっぱりそうすれば良いんじゃないかな。
ちょ、ちょっと待って! カバン開けちゃダメ!
え? いや、ほら、俺最近加齢臭とかするしさ。カバンもきっと臭いんじゃないかと思うんだよね。カバンあけたらムワッって…
いや、だから、ダメだって! あ、あー…。
…いや、それはさ、ほら、なんてゆーの? 俺、腕力ないじゃん。
だから太鼓でも叩いてさ、握力とかちゃんとしたいなぁって。
だってお前、イヤだろ? ヒョロヒョロした舞台監督なんて。
…そうだよ、そうなんだよ。だから買ったわけよ。
それにさ、それドンドンって叩けばさ、ストレス解消にもなるわけで・・・。
(急に声が変わる!)「へぇ…」
バリバリバリッ!!!!
な、な、なっ!
見ると妻の皮膚がバリバリと破れ、中から現れたのはミス・ゼロックス!!
「ふぅ…。ごきげんよう、ミスターゼロックス…。で、これはなに? このクソみたいなマシンは」
あ、こ、これは太鼓の達…。
「それじゃないわよ、なに? そのガキが喜びそうな貧弱なモノは?」
え、あ、あぁ、これですか?
いや、これはその、いわゆるゼロックス機ではなくてですね、スキャンが出来たり、FAXが出来たり…いや、あくまで家庭用にね、ははは。」
「へぇ…普通のご家庭にどうしてA3のスキャナーがいるのかしらねぇ…?」
いや、た、例えば、雑誌をね、スキャンしたりするじゃないですか…ほ、ほら、すごいんですよ。スキャンした内容がそのままPDFに変換されてPCに転送されたり…
「PDF…?
ふっ。笑わせるわねミスターゼロックス!
あなた、『ゼロックスの誓い』を忘れたの?
この世に必要なのは紙媒体のみ!
PDFなんて邪道よ! クソよ!」
ゼ、ゼロックスの誓い・・・
ガクガクガク…
そ、それだけは! それだけは御勘弁を、ミスゼロックス!
「それを決めるのは私ではない・・・。
ゼロックスの神に許しを請うが良いわ!
リピートアフターミー! 紙媒体!!」
か、紙媒体!
「声が小さい! 紙媒体!!」
紙媒体!
「紙媒体!!!」
紙媒体!!
「ふふふ。良い調子だ…。では…神に捧げる生贄を用意しなければな…私をゼロックスするが良い・・・。」
あぁ、ミスゼロックス…。
「ふ。小さいな、お前のゼロックス機は…」
いや、だからこれはゼロックス機では・・・はぅっ!
「うるさい・・・黙ってゼロックスしろ・・・」
は、はい…。
「ふふふ。相変わらず…良い腕をしているな…」
あ、ありがとうございます…。
「特別だ…カラーゼロックスするが良い…」
え? い、良いんですか?
「ふふふ。早くしろ…私の気が変わらぬうちに…。」
は、はいっ!
ウィーン
ウィーン
「どうだ…? 念願のカラーゼロックスは…?」
はぁ、はぁ、さ、最高です…。
「そうか…私も…良い感じだぞ…」
あ、あの、ミスゼロックス…ひとつお願いが…。
「…なんだ? 言ってみろ…うぅっ」
その…カラーFAXを送ってみても…くっ…良い、ですか?
「ふふふ。また調子に乗ったな…。それは次回のお楽しみだ…」
あぁ、でも、僕はもう…
「まだダメだ…ゼロックスの神はお怒りだぞ…?」
でも…もうダメ、なんですっ。…僕は…もうっ!
「き、貴様、まさかっ『ゼロックスの誓い』をっ!?」
うぉぉぉぉ! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
「…拘束具が…なんてこと…自らの力でゼロックスの誓いを破るなど…考えられない…」
…例え、例えゼロックスの神に背くことになっても!
僕は全力で!
全力であなたを愛する!!
「ミ、ミスター…ゼロックス…。いえ、あなた…。」
ミスゼロックス。…いや、お前…。
「…あなたに…ついて行きます…。…いえ、あなたのおそばにいさせて下さい…」
ついてこい。一生かけて、俺はお前をPDFしつくしてやる。
「…PDFだなんて。恥ずかしい…です」
PDFだ。これからはPDFで愛をはぐくもう。
「はい…あなた…」
結婚してぇなぁ・・・。